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第3回「ミニシアターがいま伝えたいこと」


シネマハウス大塚の後藤和夫さんと、橋本佳子さんにお話を伺いました。

6月1日から営業を再開したシネマハウス大塚。
館長であり映画監督の後藤和夫さんと、運営をともに行う映画プロデューサーの橋本佳子さんのインタビューです。(以下、敬称略)
(取材日 2021/6/17)

今日はよろしくお願いします。まず、今回休業に至った経緯を伺えますか?

橋本:まずは前提としてシネマハウス大塚の基本は、レンタルスペースなんです。作品を上映したいという方に「場」を提供しています。そして、私たち独自の特集企画を年に3〜4回上映しています。
この4月が設立3周年でしたので独自特集企画を予定していたのですが、緊急事態で延期ということにしました。実はその企画、昨年の一回目の緊急事態宣言でも延期になった特集でして…。想田和弘監督の全作品を一挙公開する企画でした。

後藤:監督のトークやレクチャー付きでの上映を予定していましたが、「いま上映しても、大きな声でお客さんに来てくださいとは言えないね」ということで、大変残念ではありましたが再び延期という運びになりました。

橋本:チラシも昨年のと今年の合わせてすべて無駄になってしまい、、、

後藤:期間は10日前後を想定していましたが、今は11月に延期しています。3度目の正直です。その頃にはワクチンも行き届いていて少しは状況は良くなると思う。

橋本:4月5月は、ほかにも上映を予定されている方々が、大勢いらっしゃいましたが、皆さん延期または中止ということで、ご利用をキャンセルされたので結果、休業ということになりました。ちなみにコロナに対する上映のキャンセル料とかも一切もらっていません。

対策もかなり徹底されているそうですね。

橋本:はい。シネマハウス大塚を利用して上映をされる方達には、感染対策の規約を守っていただくということで「場」を提供しています。対策が守れない時は上映をやめていただくことになっています。密をさけるために、上映終わったらロビーで歓談などせずに、すぐ帰るように促したり、一時期は物販もお断りしてました。少し厳しいとは思いますし、もちろん、私たちもそんなことをしたいわけではないんです。観客と作り手の出会える場を提供したくて、ここをつくったのですから、目指したい方向には反していますので…。

でも、どこか一館でもミニシアターからコロナが出たら、日本中のミニシアターに迷惑をかけますよね。大きな見出しで「ミニシアターからクラスター」とか書かれることになってしまう。なんとしてでもそれは避けるために、スタッフで何度も話し合い、感染対策も状況に応じてその都度改定しています。

最近は、ここで上映をされる方は、感染対策にも真剣になったと思います。「ここのシアターは対策ちゃんとやってますか?」って、むしろ確認されるようになりました。こちらとしては、もちろん!という感じですね。

同級生でミニシアター経営、ステキですね。コンセプトを伺えますか?

後藤:「みんながつかえる映画館」であることを大切にしています。
映画を見たい人、見せる人にとって、時代が、窮屈になっている。そんな時に
自由にこの場を使って欲しいと思っている。

橋本:時代の窮屈な感じ。2015年、16年頃、あちこちで公の施設での上映やシンポジウムが断られることが続きました。自由じゃなくなっていると感じたので…。政治的なものじゃなくても、結構、不自由になってきたのではないかと。
そういうことが背景で、2018年にシネマハウス大塚をつくりました。
シネマハウス大塚は、スタッフ6名のうち5名は全員高校の同級生で、この場所の運営は無給ボランティアでやっています。だから人件費がかかっていません。その時々でスタッフに入ってもらう方へのお支払いと家賃くらいです。

後藤:1960年代後半が高校時代だった我々は、時代的にも社会に疑問を投げかけて生きてきました。だから、この場所を作ったし、なんとか残したいんです。そして、いずれは「こういう場を大切にしたい」って思う若い方に繋いでいけたらいいですね。

橋本:いつでも上映ができる場が必要だと考えています。インディーズの若い人たちにもバンバン作品をかけてほしい。例えば、朗読劇なんかもやるので、映画だけじゃなくても。試写室として使ってもらってもいいし。そのために値段設定も、わりと安くしています。

後藤:目指すは、「場づくり」ですね。

場づくり。まさにコロナをきっかけに、その必要性を再認識しました。

橋本:そうですね。観客と制作者側が出会う場として、大切に考えています。その出会いから生まれるものが多いじゃないですか。

後藤:ドキュメンタリー映画なんかはとくに、監督のトークがついていたり、政治的なことや内容について話を聞く、話す、という時間をすごく大事にしているんですね。映画を見るだけでなく。

橋本:そういう出会いの時間が、正直、コロナで「奪われたな」とは思いました。
出会いから、新しいことが生まれる場所を作りたい。はじめの1、2年はその思いが叶っていたところもあるので悔しいですね。はじめて丸3年になりましたが、そのうちの一年がコロナ…。やれるところまでは、やってみたいと思います。ミニシアターエイドにも助けてもらいましたし、あと何年かは大丈夫かなと思います。

後藤:なにより、表現の場がなくなるとまずいとは思ってますから。

今後の展望を聞かせていただけますか?

後藤:成果として喜ばしいのは、シネマハウス大塚を“自分の常設館”として利用してくれている映画制作者たちが出てきたことです。ラインナップを2ヶ月に一度組んでくれたり、ご自身の短編特集を行われたり…。今後もぜひ活用してほしいですね。

橋本:まずは、いっぱい、いろいろな方に使ってもらいたい。次に、シネマハウス独自の特集企画として、私たちのかけたい映画もかける。これもやっていきたい。第三に、大塚の地域と何ができるかには挑戦したいです。コロナが落ち着いたら大塚の町とコラボして何かしていきたい。近くに劇場もありますし、なんといっても多国籍タウンですし。その辺で何ができるか思案中です。

後藤:私たちの高校時代は、大塚が遊び場でした。あの頃は大塚にも映画館がみっつもありました。

大塚の街とコラボ。とても楽しみです。

最後に、これからの世代へのメッセージをお願いできますか。

後藤:ホームページにあるように、「どうぞ自由を使ってください」ということに尽きますね。
みなさん、自分自身が自分自身に規制をかけているような気がするんです。自分自身の規制も取っ払って、ぜひ表現を続けてください。

第三回「ミニシアターが今伝えたいこと」は、シネマハウス大塚の館長・後藤和也さん、橋本佳子さんにお話をお伺いいたしました。映画製作もされるおふたりのお話が胸に響きました。必要不可欠なこの場所について、これからもいろいろな劇場さまの声を届けていければと思います。よろしくお願いします。