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第一回 ミニシアだより

今回は、シネヌーヴォ・山崎紀子さんにお話を伺いました。

シネ・ヌーヴォ山崎紀子さんと、シネ・ヌーヴォさんで大阪時代の監督作品の上映を行い、2020年には「13月の女の子」の公開を行った戸田彬弘監督とのインタビューです。(以下、敬称略)(取材日 2021/6/25)

— お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。

山崎:久しぶりですね〜、よろしくお願いします。
戸田:早速なんですが、ヌーヴォさん今お客さんの入りってどんな感じですか?
山崎:大阪の多くの映画館も土日再開しましたけど、うちはずっと営業してたんで緊急事態宣言の頃とそんなに変わらないなぁ。ある意味お客さんの戻りもあまり感じないかも。あんまり変わらないです。
戸田:そうなんですね。
山崎:去年の1回目の緊急事態宣言の時も、解禁明けにすぐ爆発的に増えた、とかそういうことはなかったですね。夏に向けて戻ってきたけど…。それでもやっぱり今までの3割減は続いている感じです。

戸田:そうかぁ…。関西のインディペンデント作品の盛り上がりはどうですか?
山崎:制作はしているけど上映までには至らない印象かも。学生の方に是非もっとみに来ていただきたいですね。戸田監督の映画を上映していた時にはたくさん若い方が来てくれたのは今でも覚えています。
戸田:いえいえ…。学生の方、あまり来てないですか?
山崎:そうですねぇ…。でも映画チア部さんが企画した上映会などは、若い人たちでお客さんいっぱいになるんですよ。彼らを支えたいですし、応援したいな。
戸田:映画チア部さん?
山崎:そうそう。関西の学生の団体さんで。ミニシアターでの上映企画とか積極的にやってくれていて。
戸田:へーいいですね!もっと若い方たちと活動とかも一緒になっていきたいなぁ。

— 緊急事態宣言下で、営業を続けてきた中でのご苦労はありましたか?

山崎:何より後ろめたさが半端なくて…。まわりはそんなこと気にしなくていいよって言ってくれたんですけど、でもそうは言っても営業しているところと休業しているところがあるのは事実で…。
ああゆう形で関西が真っ二つになる、みたいなことはすごく辛かったですね。
戸田:そうかぁ…。その時のお客さんの表情や言葉、などはどうでしたか?
山崎:「開けといてくれてありがとう」とか「楽しみにしてた映画だったから、やってくれてありがとう」とか言ってくれる人もいましたね。
戸田:はい。
山崎:ただ、少し悲しかったのが開けていない映画館に対して「努力が足りない」とか「閉めるのが悪い」みたいな言い方をする人もいたみたいで…。
戸田:閉めている方にですか。
山崎:はい。なので、それはそうゆうことじゃないんですよ、とかそれぞれ事情があることを説明したりして…。
戸田:そうなんですね…。ちなみに配給サイドとのやりとりはどうでしたか?
山崎:うちはたまたま東京での上映が終わっている作品ばかりだったので、時期をずらしてもらったのは1本だけでした。配給の方たちも「別の期間にフィルム押さえておくよ」などと言ってくださり助けられました。

— ちなみにコロナがあったから、見えてきたミニシアターのあり方などもありましたか?

山崎:うーん。コロナがあったことでリモートが頻繁に行われて、全国の映画館の人とたくさん話すことができるようになったのは良かったですね。
戸田:連絡取り合いましょう、みたいになってるんですか?
山崎:はい。月一回、ズームでおしゃべりはしています。コミュニティシネマセンターとかで、年に一度だった関係を月に一度オンラインで会うようになって。その結びつきは強くなった気がする。
戸田:いいですね。
山崎:そうなんですよ。そういえば先日、ちょうど公開中だった「海辺の彼女たち」の藤元監督が、「この作品があたったのって、みんな緊急事態宣言中・休業中にいろんなことを考えたことがあるんじゃないだろうか」って。
巣篭もりしている間に、いろいろ考えるようになった。考える時間になった。映画界の労働環境などの問題が浮き彫りになったのもちょうどこの時でしたしね。みんな考える時間になったように思います。
戸田:たしかに…。では、コロナがプラスになったことも?
山崎:うーん。コロナになって、危機感みたいなものが出てきたせいか、同じような立場や考え方を持っている人たちがつながったんじゃないのかな?
ミニシアターエイドや SAVE the CINEMAもなんですが、大事に思ってくれているんだな、ということが感じられたんです。
映画があっての映画館です。映画をかける場所を大切に思ってもらえるということを実感し、驚きと同時に嬉しかったです。
戸田:いやいや。監督やってる人間からすると、映画館に育てられたんで。
僕、コロナになってっていうのもあるんですけど、配信も普及してきて、映画館の大切さを再認識して欲しいと思いましたね。
山崎:そうですね。でも映画館好きだった人の分母はどんな世界になっても変わらないと思うから。リモートを生かして、むしろもっと距離を意識しないで密接に連絡とってやっていけたらいいなって思ってます。

— リモート舞台挨拶って、どんな感じですか?

山崎:作り手の人もお客さんの意見聞きたいって思うし、お客さんも作り手の話が聞けるのは楽しみ。だからリモートで出来ること、それはすごく大切に思っています。本当だったら実際に来ていただいて空気を感じながらお話しできることがいんですけどね。でも、お客さんの声を聞きたいとうのは作り手の方も同じなのでは?
戸田:そうですね。ちなみに、舞台挨拶を生配信できたらいい宣伝になるんじゃないですか?
山崎:そう、本当はそうゆうことできたら理想です。
戸田:いい意味でオンライン文化が来て。ちょっとお客さんと繋がれたらいいですよね。
山崎:はい。
戸田:ちなみにコロナを経て、このまま続けていけるだろうかと思った時や、山崎さんご自身の生活に変化はありましたか?
山崎:仕事終わりに飲みに行けなくなったのが残念。(笑)仕事終わりの生ビール、早く飲みたいなぁ。
戸田:ははは、たしかに。

— ところで、山崎さんの方から作り手側への要望とかってあったりしますか?

山崎:要望ですか?十分していただいているので、あとはこちらが、恩返ししていきたい思いです。制作側・配給側の人も大変ですよね。映画業界って映画館だけじゃないので。
戸田:うーん、でも僕らも少しでも恩返しがしたくてただ動いたんだと思います。映画館をどう盛り上げることができるのかを、制作側も関わって考えていけたらいいですよね。映画館側から、こんなことしてくれないかな〜とかあればぜひお聞きしたいなと。
山崎:えー、ないです(笑)。ありがとう、と思っています。
戸田:(笑)ではこれからこんなことをやってきたい!こんなことを楽しみにしててもらいたい!などあれば。
山崎:オリジナルの企画はやっていきたいですね!そして若いお客さんを増やしたいです。
戸田:こういう活動にも、もっと学生さんとか巻き込んでいけたらいんだろうなあ。
山崎:チア部の子たちはまさにそんな感じで頑張ってくれているんですよ。

— ミニシアターという場所は、山崎さんにとってどう良さがある「場所」ですか?

山崎:ミニシアターは、本当に多種多様な映画を上映していますし、節操がないのかってくらい自由に、圧力もなく、上映しています。
恵まれた、そうゆう中で上映できているってことだと思います。
ちょうど「香港インディペンデント特集」をやっていたので、今の香港の制作や上映の制限も目の当たりにしています。日本はどんな映画でも、どんな国の映画でも上映できますからね。
戸田:ミニシアターはラインナップも、館ごとの色がありますよね。お客さんは“映画館のファン”というイメージがあります。
山崎:そういう方もいてくれます。ヌーヴォでかかる映画は全部見る。この特集全部見る。とか。
戸田:ええ。
山崎:そういえば、午後の一本目1100円だけ持ってくるおじいちゃんがいるんです。あんまりぴったり持ってくるから、シニア料金、1200円にあげられないなぁ、とか思ったりしています(笑)。
戸田:本当ですね(笑)。支配人の好みとか、映画館の色とか、そうゆうものがもっと可視化したらいいですね。それぞれの色と個性と…。そこの楽しみ方が見えてきたら、「人」と「映画館」というつながりに見えてきそう。
山崎:本当ですね。
戸田:座談会とか見てみたいです。他の映画館から見たほかの映画館の話とか。
山崎:映画だけじゃなくてこの日限定のイベントとか。
戸田:そうゆうイベントに作り手も参加していけたらいいですよね。

第四回「ミニシアターが今伝えたいこと」は、シネ・ヌーヴォ、山崎紀子さん、戸田彬弘監督にお話をお伺いいたしました。山崎さん、戸田監督、素敵なお話をありがとうございました!

戸田彬弘
チーズfilm代表取締役。チーズtheater主宰。日本劇作家協会員。
映画監督、脚本家、演出家として活動。
2014年に映画「ねこにみかん」で劇場デビュー。代表作に、「名前」「13月の女の子」があり、近作は、MOOSIC LAB[JOINT]2020-2021観客賞、男優賞、ミュージシャン賞の三冠となった「僕たちは変わらない朝を迎える」があり、2021年8月13日から劇場公開が決定。
舞台では、サンモールスタジオ選定賞2015最優秀脚本賞受賞作「川辺市子のために/川辺月子のために」や、チーズ theater 全作品の作・演出を担当。
外部演出は、大竹野正典作「⻩昏ワルツ」、横山拓也作「エダニク」、花田明子作「鈴虫のこえ、宵のホタル」など。
他、大人の土曜ドラマ「悪魔の弁護人 御柴礼司」、MBSドラマ特区「西荻窪三ツ星洋酒堂」Hulu連続ドラマ「うつヌケ」脚本。フジテレビ「スカッとジャパン」ディレクター
HY「会いたい」、PASSPO☆「Growing Up」のMV、他、CM ディレクターとしても活動している。

映画チア部
関西のミニシアターの魅力を伝えるべく結成された、学生による学生のための映画宣伝隊。
https://moviecheer.themedia.jp/

シネ・ヌーヴォ

  • シネ・ヌーヴォ
  • 住所
    〒550-0027 大阪府大阪市西区九条1-20-24
  • 電話番号
    06-6582-1416
  • スクリーン数
    2
  • 席数
    69席 / 24席
  • 営業時間
    10時台から22時台まで(上映作品によって異なる)
  • WEBサイト
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